日常取引の税務リスクを回避する【法人税で知っておくべき5つのこと】



税務というと様々な論点があって非常に複雑そうだが、今回あげる2つの前提知識と3つの対策さえ押さえておけば、経理からの突っ込まれもしないし、基本的に税務調査の対応もできてしまう。

ぼくが新入社員のとき、経理一筋30年の大先輩から教えてもらったことをここに共有しようと思う。

 

法人税の納税において処理時期を誤ると、誤った分の納付額×14.6%の延滞税をかけられる。

納付漏れが故意のものであったとみなされてしまえば、納付が漏れていた金額に対して35%ほど追徴されてしまうので(場合によっては40%)、延滞税も合わせれば、本来納めればよかった金額の1.5倍の納税をしなければならなくなる。

単純計算で、税前100万円稼いでも、法人税60百万円取られてしまうことになるのだ。

 

営業マンであっても本エントリーで必要最低限の知識は身に着け、無駄なキャッシュアウトを避けよう!

 

前提知識①: 損を多く計上すると怒られる(特に対海外!)

税務調査では国税がかなりねちっこく調べてくるのに、東芝の不正会計が発覚しなかったのはなぜだろう?

国税は、企業が利益を水増ししてくれる分には全く何も言ってこないからだ。利益が多ければ納税額も大きくなるので、国税が口出しをするインセンティブは働かない。

国税が口うるさく言ってくるのは、企業が「損を多く出したとき」である。

 

特に注意しなければならないのは、「海外の取引先のために損を計上する場合」である。

海外に利益が流出してしまうと、国税としては税金を徴収できなくなってしまうので、海外への業務委託料の支払や、経費負担は特に気をつけなければならない。
(一方、損を出した先が国内の企業に対してであれば、結局益を受けとった相手企業から税金が上がってくることが多いので、国内は後回しにされがちである。)

 

前提知識②: 損を先に計上する/益を遅く計上すると怒られる 

当然だが、お金は早くもらった方がうれしい。早く手元にお金があれば、お金を預けて金利をもらったり、借りていたお金を返済したり、新しい商売を始めたりできる。それは国税の立場でも同じことで、国税は早く税金が欲しい。

企業が、本当は2016年度に計上すべき売上を、2017年度に遅れて計上したら、その分の法人税の納税が1年遅れることになる。2017年度に計上すべき損を、2016年度に先に計上しても、同じことが言える。

「期末での売上計上漏れ」「売上原価の見込み計上」などはしっかり経理と相談する必要がある。

(また、本来は資産に計上して毎年償却すべきものについて、一気に一年で売上原価や経費として計上して損にしてしまった場合も問題になる。営業としては自社で費用負担するサンプル品などについて、自社に所有権がないことを明確にしてから費用計上することが必要だろう。)

 

対策①:「契約通りである」という証拠を残す 

良い商売をくれたからといって、契約で決めた以上の報酬をあげることは認められない。

海外市場の調査を委託しても、実際に市場調査のサービスを受けた証拠(レポートなど)がなければ、税務上損金として認められない。

レポート、出張スケジュール、報告メール、、、委託した先からもらえるものは必ず保管すべきである。

 

対策②:「妥当な金額である」という証拠を残す 

海外の代理店に対して2億円の委託手数料を払う。

取引先に足繁く通って、レポートをしっかりあげて、、、ならばわかるが、電話1本で商売を取ってしまったような場合、税務では委託手数料とはみなされず、寄付金扱いされ、損として認められなくなってしまう。

対策①と似ているが、やはり、委託先がやってくれたことは極力紙やメールに残す。

 

対策③:「自分と他人の区別がついている」という証拠を残す

子会社に対して親会社が無償で設備を供与し続ける場合や、親会社の人間が子会社に出向いてサポートを続ける場合などで、子会社は親会社に対して対価を払わなければならない。

これについて、金額の妥当性を検討するのは難しいが、何らかの論理を立てつけておき、社内ルール化することが必要である。

全く払っていない状況に対して文句は付けるのは容易であり、税務リスクとなるだろう。

たとえば、親会社が一括で銀行から借り入れをして、子会社に貸し付けるような場合、”TIBORなどの市場のインデックス”+”~%”などのルール付けをすることが多い。

 

注意すべきパターンまとめ

<契約通りか>

・市場調査などで、きちんと成果物(レポート等)を入手しているか

 

<金額は妥当か>

・商品の代理販売などで払う口銭率の設定根拠を外部に主張できるか

 

<自他の区別がついているか>

・海外子会社のための出張支援の際対価をもらっているか

・海外子会社の広告宣伝費の負担をしていないか

・出向者の給与の補てんをしているか

・海外子会社に対する貸付金利がルールに則っているか

・本社がまとめてコーポレート業務などを行っている場合の本社費を回収しているか

 


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