なぜ議論が噛み合わないのか ~裁判官から教わった『議論の構造』~



ぼくは学生時代法律を学んでいたのだが、現役裁判官に見てもらって、模擬的な裁判対決をさせてもらったことがある。皆、誤らないよう綿密に準備してきたWord Fileだけを凝視しながら、ぼそぼそと裁判ごっこに取り掛かった。

条文の解釈だとかは一生懸命調べてそれなりにものになるのだが、みな自分の答案の完成度を上げることに躍起になっていて、相手の存在を全く無視していた。

そういった、自分の作った原稿を繰り返すだけのオナニー野郎は、社会人になってもそうそう変わるものではなくて、それゆえに全く生産性のない会議が量産されているのだと思っている。学生が社会人になると、住む場所や会う人、生活の時間配分が変わるので、大きくその人のイメージも変わって見えるけれど、いくら多くの人に会うようになったところで意識しなければ相手の立場に立って議論はできない。

ぼく自身もそれまで議論というものを意識してこなかったこともあり、そのときの指導は非常に参考になったのでここで共有しよう。

 

主張の構造を知る。

まず、「主張」は下記のような3つの要素からなる。言いたい「主張」があって、それを端的に表す「事実」があって、事実から主張へとつなぐ「論拠」がある。

 

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論拠は、〇〇な人は☆☆しなければならないという「法律」があるということでもいいし、「統計」的にそうだからでもいい。最悪、日常生活の議論だったら、「一般常識」というものも論拠にできる。

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主張を強くするには、論拠・事実との距離を近づけて、事実を裏付ける確固たる証拠を持てればいい。「A=B、B=CだからA=C」の間の結び目をいかにしっかりつなげられるか。これを意識するだけでも説得力のある主張ができるだろう。

主張をするときは、事実のための「なぜなら」と論拠のための「なぜなら」を二つ用意しよう。

 

戦い方①:「主張の要素をつぶす。」

論拠と事実に基づいて相手は主張しているのだから、反対したい場合は、論拠と事実を批判してあげればいい。

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批判によって、相手の意見を弱体化させることができる。

論拠を批判するときは、「統計データのサンプリングターゲットが今回と合わない」「誤った法律の解釈をしている」など。事実を批判するときは、「特定の例外的状況でしかその事実は起こらない」「証拠がない」など。

 

戦い方②:「別の主張をぶつける。」

また、そもそも違う主張をぶつけてやるのも手だ。例でいえば、イギリス人でないことを法律的、統計的裏付けから新たに主張する。

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この場合、もともと主張をしていた人とは逆の立場で、事実→論拠→主張をすることになる。相手の意見を弱めるというよりも、ほかの有力な案をぶつけるイメージだ。

 

議論のレッスン

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あとは話すとき、ひたすらこの構造を頭に描き続けよう。自分の主張をを通したいときや、交渉事でぜひ意識してつかったみてほしい。

議論は、主張と批判と反論の繰り返しである。

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裁判官から議論、交渉について7つの本を薦められてすべて読んだが、網羅的に書かれているのは「議論のレッスン (生活人新書) 」。全人類におすすめ。

 

より詳しく知りたいという方には「新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ) 」。ぼくが読んだのは旧版だったが、トレーニング問題がたくさんついていて、反論・批判の練習、思考トレーニングに良い。

 

そんな面倒なの読んでられん、という方には、コンパクトに図解されている「論理的に読む技術(サイエンス・アイ新書) 」。本エントリーをより丁寧に書いた内容になるが、中学生でも読みやすいほど丁寧。子どもに読ませようと思う。 

 


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