サイバーエージェント藤田社長から学ぶ~若手のキャリア・起業・上場について~



弁護士の中尾先生(@Shingo_Nakao)が読書の有用性、読み方について最近発信をしている。そんな先生が「渋谷ではたらく社長の告白」という本をオススメしていたので、読んでみた。

この本は、サイバーエージェント社長である藤田氏の自伝的な本で、時系列順にエピソードが進んでいく。起業後の占める割合が多いが、大学→新卒→起業→上場・・・とそれぞれの段階において、教訓が散りばめられた良書だと思う。

あらすじをざっと書いて、所感を最後に述べよう。

粗利5,000万円を稼ぐ新卒

藤田氏は大学時代、ベンチャー企業でバイトをしていて、フリーペーパーを売る営業マンとして仕事に没頭する。

ベンチャー路線は固まっていたようで、1997年インテリジェンスへ入社。面接では「デジタル放送の一つのチャンネルを買い取り、一日中企業の会社案内を流す。そういう採用サービスを提供したらどうか」という話をしていた。実際にその事業部へ配属。一日も休まず、毎日始発で出社し、年間5,000万円の粗利を稼ぎ出す

この年の12月、恩師である元バイト先の専務と、元同僚と、三人で起業の計画を話し合う。一方でインテリジェンスからは当然ながら引き止められる。藤田氏は同志三人で起業するつもりでいたが、インテリジェンス社長から「50%出資。社長は藤田」という提案を受け、インテリジェンスの提案を承諾。藤田氏の除く同志二人は離れていく。

 

手探りの起業1年目

1998年。インテリジェンス社員を新会社に1人貰って、「サイバーエージェント」発足。資本金1,000万円、主軸をインターネット事業と決める。当時、インターネットの走りだったので、営業力に秀でた会社がいなかった。藤田氏の強みは営業力だったので、チャンスと捉えた。

原宿にオフィスを決め(月40万円)、ネット設備を整え、あとはひたすら営業。WEBの知識はないが、営業をしながら勉強。人脈を通じて、新しい事業の協力要請も来る。

転機は、インテリジェンスを通じた日経新聞からの取材。若手ベンチャー特集で取り上げられ、翌日から問合せ殺到。これまた人脈。

次第に人手不足が深刻に。求人サイトでバイト募集。だが、バイトの限界を感じ、正社員募集。大学のメールアドレス(学籍番号@waseda.ac.jp)にスパムメール的に説明会案内を送りつけるなどして、採用拡大。大手企業からの中途採用は、指示待ち人間ばかり。広報的にホームページにてブログも連載。資金ショートの危機もあり、経理部門も拡充。

代理店営業の収益の限界を感じ、自社で商品開発。オンザエッヂ社長のホリエモン26歳に委託し、クリック収益連動広告システムを売りまくる。ホリエモンが作って藤田が売るというパートナーシップ(当時藤田氏25歳)。

1998年9月期は、売上高2,000万円、経常利益▲200万円、手元資金はギリギリとのこと。社員数は10名程度。

 

起業2年目で上場

1999年。規模拡大を見据え、資金はギリギリながら、家賃月200万円の渋谷のオフィスへ移転。新卒で20名に内定を出す。10名規模の大阪支店立ち上げ。

一方、資金調達の手段としては、マザーズへの上場を考えていた。当時インターネット関連株が大いに買われていたため、大規模な資金調達が期待できた。トラブルに見舞われながらも上場し、1,500万円の株式を1,500株発行。225億円の資金調達に成功する。

1999年9月期は売上高4.5億円、経常利益▲3,500万円、純資産1億円。

 

上場直後のITバブル崩壊

ITバブルが崩壊し、株価が暴落。資家は「金を返せ」と。マスコミはIT企業叩き。匿名掲示板や同職である若手起業家、果てには社内からも石を投げられることになる。

評判が地に落ちると、商売もやりにくくなるし、人も集まりにくくなる。また、会社の買収を防げるような株主構成になっておらず、株価が暴落していることから、どこかに買われてもおかしくない状況だった。しかし、持分比率の多い株主(GMO・インテリジェンス元社長の会社・村上ファンド)や新たな資本家(楽天三木谷氏)との交渉の末、会社を何とか手放さずに守る。

そのまま5年間投資を続け、赤字を出しながら走り、2004年9月期には初の黒字化。一時は上場時の10分の1まで下がった株価を上場時の株価まで回復。その後も走り続ける。

 

所感

若手のキャリアについて

キャリアのアクティブ運用をするのであれば、成長中のベンチャー起業で営業をするのが良いかもしれない。休み返上で大きな成果を上げると、経営層や取引先など、構築される人脈が後々役立つ。起業の同志にも、出資者にも、その後の事業パートナーにもなりうる。

それをしないのであれば、ぼくの場合は、会計士・税理士取得→監査法人→ベンチャーCFOのような流れか、大企業でキャリアのパッシブ運用をしながら副業で個人事業を拡大する、といったところか。成長可能性を秘めたグロース企業に入るか、買われるキャリアを積んで自身のバリューを上げるか。(バックナンバー「キャリアのパッシブ運用とアクティブ運用」)

 

起業後の事業

2017年でもそうなのかはわからないが、営業力があれば、起業をする上で販売代行は良い商売だ。運転資金がかからず、人脈も広ろがる。粗利は低いだろうから、人件費と釣り合いが取れないだろうが、同志が見つけて解決した。サイバーエージェントはホリエモンというシステム屋と組み、自社製品を開発したのだ。

成功要因は主に三つで、「①自社にとっては薄利であっても販売代行として持前の営業力で取引先にきちんと価値を提供し続けた」「②インテリジェンスの伝手から、日経新聞での広告宣伝が効いた」「③ホリエモンという優秀なエンジニアと組むことができた」。これらは新卒時代の休まず働いて比類なき成果を上げたことからすべて繋がっている(インテリジェンス時代にホリエモン作の製品も売っていた)。

 

上場について

事業を大きくしたければ、目先の小さな利益よりも、いかに資金を調達して先行投資をするか。起業して数年の会社であれば、黒字か赤字かではなく、投資した事業の質で見るべきだ。

しかし、株主が会社に求めるものは、結局は「株価の上昇」「配当金」である。配当金は、基本的には黒字でなければ支払うことができないので、当然株主は黒字決算を求める。

そして、上場すると、資本家が一番偉い。偉いというのはどういうことかというと、株主総会で過半数の支持のもと、取締役を解任できる。株主の求めるものが早期の黒字化であれば、その意向に沿わないと経営陣は首にされてしまうかもしれない(かなり極端な話だが)。なので、経営陣は株主を見ながら仕事をしなければならなくなるのだ。

(※ 株価や上場の意義についてはバックナンバー参照:「なぜ経営者は自社の株価を気にするか?」)

こうした状況についての解決策は、二つだけ。一つ目は「~年は先行投資、赤字を出し続ける」というメッセージを上場前からしっかりと発信すること。二つ目は、当然ながら「買収されない株主構成」。

上場準備について勉強しようと思った、財務・経理周りでベンチャーに入るのであれば必要な知識かと思うので、しっかり頭に入れておきたい。本サイトのコンテンツにも加えたい。


 

商社を出て転職・起業をした人たちのパネルディスカッションをまとめた記事。

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