財務三表を一体理解する ~日常取引から見る財務三表~



 PLとCFは、あくまでBSの附属表である

「貸借対照表(Balance Sheet)」は、今までどんな方法でお金を集めてきたかを右側に書いて、そのお金がいま何に姿を変えているのかを左側に書いた表だ。

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どこからか借りてきたわけではなく、自分の事業でお金を集めてきた場合、右側に「利益(剰余金)」を計上する。

>> BSが示すのは「集めた金が何に姿を換えたか」

この利益剰余金の1年間の積み上げの明細が、PL(損益計算書)なのである。どんなサービスを提供したか(収益)、どんなサービスの提供を受けたか(費用)が書かれた計算書だと思ってもらえばよい。

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>> PLとは「企業の一年間の通信簿」である

そして、左側には現在の現預金の残高も示している。その現預金の一年間の出入り明細を示したのが「CF(キャッシュフロー計算書)」である。PLに出すかBSだけで処理するか、減損の金額はいくらになるかなど、PLは比較的人の意思が入っていることがあるが、CFの場合は口座上の預金金額と合わなければおかしいので、数値に意思が入りにくい。

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・・・とまぁ、これまで財務三表がどのようなものか書いてきたが、実際に日々の商売や資金繰りがどのように帳簿に反映されているか、具体的に考えてみた方が頭に入るだろう。

基本的に、サービスの提供・享受があれば「PL」と「BS」が動き、入出金があれば「CF」と「BS」が動く。

日常取引を例に財務諸表を作る

前提:出来立てホヤホヤの会社

財務諸表の動きをわかりやすくするために、誕生して間もない企業の例を出そう。資本金100が払い込まれ、手元に現預金100が残っている状態の企業がある。業種は商社としよう。

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仕入

商品を安く仕入れて、高く売るのが商売の基本だ。メーカーから商品50を掛けで仕入れた。なお、支払の決済条件は、納品を受けた月の月末に締めて、60日後に払うこととする。

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仕入先への支払いを待ってもらっている形になるので、仕入先から現預金50を借りて、在庫を増やしたようなイメージになる。お金の集め方を示す右側に、買掛金(仕入の支払いを待ってもらっている支払予定)。そのお金は商品に姿を変えているので、右側に「在庫商品」が増える。(仕訳:「在庫/買掛金」)

現預金の入出金はないので、CFは変わらず。サービスの提供もないので、PLも変わらず。

売上

翌月、仕入れた在庫が60で売れた。決済条件は納入月の月末締めで90日後払いである。

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商品の出荷をしたところで、PLには売上高60。サービスの提供にかかった費用を対応させ、売上原価50も計上。法人税を40%として法人税等に6計上、この時点での当期純利益は4になる。

一方、BSでは、在庫を払い出して、売り先からの入金を待つので、在庫50が消えて、売掛金60が計上される。

現預金の動きはないので、CFはまだ変わらず。

決済

商品を仕入れて2か月、商品を売り上げて1か月が経つ。ここで仕入先に支払いを行うが、PLには一切影響しない。そしてようやくCFが動く。

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現預金と買掛金がそれぞれ50ずつ減る。

その1か月後、今度は売った商品代を売り先から入金したとする。

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売掛金が消え、現預金が増える。

黒字倒産の危険

もともと100あった現預金が、支払時に50にまで減少している。このまま商売拡大をすると、手元に現金がなくなって倒産する可能性がある。不用意に支払先行の決済条件のまま、ばんばん受注して売りまくると、手元に現預金がなくなってしまうのだ。

そして、決済条件や現預金の動きはPLからは全く見ることができない。だから黒字倒産ということが起きてしまう。PLが黒字でも支払が先行したり、入金が遅延したりして倒産する。

 

 

借入で資金調達する

このままではまずいので、手元の資金を調達する。きちんとしたサービスがあって、売れる目途がついているのであれば、どんどん資金を調達すればよい。どれだけ大きな金額でも、年利1%以下で借りて純利益率1%以上確保できれば、お金を借りて商売した方が儲かるし、たくさん借りてたくさん商売を回すほど、手元に残る額が大きくなる。

というわけで、創業の強い味方である日本政策金融公庫から五年後に返す約束で500の借入を行う。

>> 起業の資金調達

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現預金と長期借入金が500増える。これもまたPLには影響しないが、CFに影響が出る。財務CFが500増える。借入金の返済を実行すれば、▲500となる。

金を固定資産に換える

取り扱っている商材は、需要が大きいが、供給がなかなか間に合っていない。仕入先が、独自技術を持った小さな企業なのだ。

そこで、当社は仕入先のために新しい生産設備(金額は300)を購入し、仕入先の工場に導入する。その代わり、仕入価格を下げてもらうことになった。

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機械装置が300増え、現預金300減少。この現預金の動きは、投資CFに分類される。

まとめ

PLとCFは、BSの内訳明細である。

いままでどんな投資をしてきたか、借入をしてきたか。将来返さなければならないお金はどれだけあるか。過去と未来を見るには、BSが必須である。


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