支払も売上も減損もすべて”伝票”に支配されている ~伝票の動き~



専門知識というブラックボックスを作るな

経営が知らぬ間に担当者が不正を働いているケースはよくある話だ。詳細まで公表していないだけであって、定期的に起こっていたりすると聞いたことがある。規模が大きい会社だと管理しきれないこともあるだろう。

だが、自分の所属する部やグループ、あるいは中小規模の会社であれば、発見して食い止めることができる。

その後のリスクを考えれば、マネジメントは不正の手口について勉強し、また会計システムについても多少なり理解しておくべきだと思う。

上が興味を持たなければ、勝手に処理を進める。会計知識がないから、と食わず嫌いをしているといつの間にかブラックボックスが出来上がり、不正の温床になるのだ。

 

日々の事業活動での処理

1.受発注/契約伝票

販売・購入、サービスの提供などの契約書を取り交わしたり、受発注の意思表示を往復されると、法律上は契約として認められる。だが、会計上の計上は行われない。

あまり財務安全性の高くない取引先に売りすぎないようにために、契約段階から伝票をあげて管理することもある。会計上まだ債権や債務になっていないとはいえ、法律上はお互いに義務で縛られている状態になるからだ。

2.売上・仕入伝票

実際にモノを発送したり、船に乗せたり、コンサルティングを実施したりしたときに、「売上」「仕入(売上原価や在庫になる)」が計上される。(※支払や入金は別)

会計上、ここでようやく売上や仕入などが計上される。ここの処理が一番多いので、経理部門だけではなく、基本的には営業部の事務職や受発注センターのような部門で計上がなされる。

なので、正しい計上が行われているか、経理部門でのチェック体制が重要になってくるし、上場会社の場合はそのチェック体制についても会計士監査で見られるので注意が必要だ。

3.支払伝票

仕入伝票では、支払予定の負債である”買掛金”と、その負債を対価に得た”在庫”やサービス提供にかかった費用としての”売上原価”が計上されるだけであり、実際に支払いは行われない。支払予定である買掛金や未払金が計上されたあとに、それらの負債を使って現金が支払われる。

支払や支払先口座の管理などの仕組みがずさんだと、金銭出納担当者と営業マンとが結託して、抜き取られる可能性がある。きちんと請求書や契約書を添付した上で、支払を実行する必要がある。

4.入金伝票

サービスを提供したあとに、売上伝票によって、売上と売掛金が計上される。”売掛金”をきちんと管理することによって、食い逃げをされていないかをきちんとチェックし、また資金回収漏れによる資金繰りの圧迫を防ぐ。実際に入金があれば、入金予定である”売掛金”と紐づけて、売掛金を消し込む。

「本当は60日後入金なのにも関わらず、取引先と揉めて全然入金が来ない。でも、それがバレたら怒られるから、とりあえず帳簿の売掛金に表示されている「60日後入金」という文字を打ち変えておこう。あとで回収できれば、揉め事も社内にバレないし、良いだろう。」といった事態はリスクだ。そういった事態を起こさないようにも、入金予定日の管理が重要になってくる。

 

 

5.振替伝票

仕訳を入れることによって、会計上のすべての処理を行うことのできる伝票。これ以外の伝票でも会計上のすべての処理で仕訳は起こっている(売上伝票であれば「売掛金/売上」、入金伝票であれば「現預金/売掛金」など)。

だが、他の伝票は勘定科目が限定されている中、振替伝票はすべての勘定科目を使用することができる。決算時に売上入力の締めを過ぎてしまったあとに誤りが発覚して、ギリギリ調整を入れたいとき、あるいは、売上や仕入などとは異なる販売管理費や営業外損益、特別損益の勘定科目を入れたいときに使用する。

あらゆる勘定科目を入力することができるので、当然経理部門のチェックが必要になってくるし、権限者の承認なども必要。また、入力時に

6.経費伝票

場合によっては、振替伝票のチェックを一段階緩和するために、経費伝票などを用いている場合もある。振替伝票は、帳簿のあらゆる勘定をいじることができてしまうので、経理部門や権限者のチェックが必要になってくる。だが、日常的に発生する交通費や交際費、給与などの処理も振替伝票で実行すると工数がかかりすぎる。そこで、振替伝票よりも簡略化を進めた経費伝票などが作られる。

従業員が立て替えたお金を会計システムに反映し、従業員の口座に立て替えたお金を振り込む場合などもある。従業員への振込方法を分けて処理することによって、不正な支払いを防ぐ目的もある。

具体例:伝票の一連の流れ

商品の仕入れ

【伝票なし】商品を仕入れるために、取引先に問合せをして、何度か打合せをする。

 ↓

発注/契約伝票】買う意思が固まったら発注。発注書を送る場合もある。仕訳なし。

 ↓

仕入伝票】実際にモノが到着する。あるいは、モノに不備がないと認める(=検収を終える)タイミングで仕入計上をする。(会計基準や監査法人との取り決めにもよる。基本的に所有権の移動時あるいは検収時が多い。)

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 ↓

支払伝票】仕入先からの請求書をもとに、会計システム上、仕入伝票によって計上された買掛金を選択して、支払を実行。

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商品の売上

【伝票なし】商品を売るために、取引先に商品の説明を行い、見積書などを送る。

受注/契約伝票】注文を受けたら、注文請書や契約書を発行。(あとでもめること防ぐためにも、契約当事者・履行内容・履行時期・履行場所・決済条件・遅延時の対応などを明記し、契約内容を曖昧にすべきではない。)

売上伝票】実際にモノを出荷する。あるいは売り先に届き、検収を終える。

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入金伝票】銀行からの入金データを取り込んだ上で、会計システム上の売掛金を選択し、入金データと売掛金を消し込む。

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その他経費、決算

経費伝票】営業マンが支払った交通費、交際費を、領収書をもとに会社の経費に計上。同時に、営業マンの口座にお金を支払い。など。

振替伝票】銀行からの借入金の処理、配当の計上など、その他あらゆる会計処理。

 


次は、決算の実務上、どのような処理を経理部門で行っているかについて。

カテゴリ:経営のための会計入門


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