「もしも障害のない人生と、ある人生を選べるとしたら?」顔ニモマケズ-水野敬也【書評】



ユーモアとストーリーで人を奮い立たせる”水野敬也”さん

夢をかなえるゾウ」「LOVE理論」などの著書で知られる水野敬也さんが先日新しい本を発刊された。

ついつい人は、他人を批判して自分の意見の正当性を主張したり、あるいは輝かしい功績を語って自身を正当化したりしがちである。だが、水野さんは、誰を批判するわけでもなく、ユーモアとストーリーで人々を奮い立たせる。

そして、体育会系恋愛教師を語り、恋愛関係の本も執筆されている。

 

BTO理論

「あえてブスな女性とそういう行為を行う事で性の現実を知り、女性に幻滅をする……そうする事で、女性に慣れ、あなたの恋愛能力が高まるのです! そう! 理想の女性を落とすには、現実のブスを知る事も大切な事なのです」という理論である。

※水野さんの初体験の相手は、”ブサイク・ティーチャー・小野”。略して”BTO”。

 

ホレター理論(恋愛連帯保証人理論)

「あなたにホレましたという内容のレターを出す」いわゆるラブレター、ナンパで言えばブーメランだ。

 

突然こんな紙を渡されてあなたはこう思っていると思います。キモい、と。

-申し遅れました。私、キモ山キモ夫と申します。キモい一筋30年。明日は今日よりキモくなる。こんな私でよかったら、今度一緒にアンキモ食べませんか?

love&love@docomo.ne.jp

 メアド、キモくてすみません。

 

「メールが来なかったら、愛也(水野敬也さんが恋愛本を出すときの名義)のギャグ滑ったからだと思え。すべての責任は、私にある。」と言い切る姿勢に男気を感じる。ここに掲載されたラブレターについては、水野さんが連帯保証をしてくれる。

 

どんな見た目でも幸せになれることを証明した9人の物語「顔ニモマケズ」

そんな水野さんが私は好きなので、今回新しく発刊された本も即買いした。

 

ここに出てくる9人はみな障害を抱えていて、明らかに普通の人と外見的な相違がある。顔の一部が大きく腫れていたり大きく凹んでいたり、若いうちに髪の毛がすべて抜け落ちてしまったり、大きなアザがあったり。

小学生時代にいじめにあっていたり、いじめられなくとも町中を歩けば注目されてあまり良い視線を感じなかったり。

彼らがどのようにして他者からの視線に負けずに生きてきて、これからどう戦っていくのか。彼らへのインタビューをまとめたドキュメンタリーである。

 

「リンパ管種」・・・顔に歪みがあり、5度手術しても左右対称に戻らなかった

手術を5度繰り返しても、劇的な効果は得られなかった。この症状を患う人は、完全には治らない顔に対して「いつまで手術を続けるのか」という選択肢を迫られるとのこと。この症状がなかったらと思う一方で、治す手立ては手術しかない。しかし、効果的な手術はない。というかなり辛い状況。

でも彼はホノルルマラソンをきっかけに、マラソンに熱中する。そして、ベストコンディションでない状況は、それならそれで受け入れようとするしかないと気付く。

マラソンを始めたばかりのころは、雨が降れば気分が沈んだり、風が強いとか、お腹が痛いとかそういうことを気にしていました。でも、続けるうちに、ダメな状況ならダメな状況なりの走りをしていこうと思えるようになったのです。

顔ニモマケズ より抜粋

 

「トリーチャーズコリンズ症候群」・・・顔の頬骨、顎骨がうまく作られず、聴覚障害や呼吸障害が併発することもある

宇宙人みたい、と周囲から言われ、また、聴覚障害から周りの話がなかなか聞き取れなかった。聞き取れなくともいちいち会話を止めるわけにもいかないので、聞こえているフリをして表面的な反応をしていると、周りとどんどん壁ができて、深くわかりあえる関係が築けなかったそうだ。

手話で会話するようになってから友達もでき、「僕とかかわり合いたいと思ってもらうようにしよう」という心がけで人に声をかけていくことで、彼女もできて大学生活も順調に過ごす。

バイトの面接で不採用が続くも、そこは割り切るしかない。「面接官が外見に問題があるから不採用だと考えたとしても、それは”相手の問題”であって、変えることはできない。それよりも”自分の問題は何か?”ということをいつも考えていた」。

 

 

「もしも障害のない人生と、ある人生を選べるとしたら?」

この問いにすべてが詰まっていたように感じる。

 

人生に起きるどんな苦しいことやつらいことも、全部顔のせいにできてしまう。でも、「変えられないこと」のせいにしたら、それこそ、人生は変わらない。だから、私は自分の手で変えられることを、できるだけ変えていきたいと思うのです。

顔ニモマケズ より抜粋

 

これは、障害のあるなしに関わらず、すべての人間に共通する考えだと思う。仮に、美男美女に生まれたとして、それで悩みはなくなるだろうか? そんなことはない。そりゃちやほやされて嬉しいかもしれないが、自分よりももっと美しい人への妬みや、もっと認められたいと肥大していく自尊心によって、幸福は満たされないかもしれない。

 

世の中は受験勉強のように、一元的な偏差値で測られる世界じゃない。産み落とされて、美人だった、金持ちだった、それで幸せになれるわけじゃない。ある偏差値の高みを一直線に目指せば全てハッピーになれるわけじゃない。

大切なのは、物事に夢中で没頭する時間。そのためなら、一直線に高みになんて向かわなくてよい。あちこちいろんな方向へ、角度へ、全力疾走したりスキップしながら進み続けることが大切なんだと思う。

 

 

水野さんの著書でも紹介されているが、彼らの活動に興味を持った人は、彼らの所属するNPO法人マイフェイス・マイスタイル(http://mfms.jp/)にアクセスしてみてほしい。水野さんの本を通して、彼らの言葉には力があり、彼らは本当に魅力的だと感じた。


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